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季節のある物語


山に大きな風が吹いた

「おーい、

秋が来るぞー

みんな準備しろー」

ってさ。

葉っぱ、葉っぱ、重なり鳴って、

枝はさらさら、揺れて波になる。


ベランダからはそんな風景だ。



「季節のない物語をいきすぎたな。

朝も、昼も、夜もなく。

暑いも、涼しいも、寒いもなく。

広がったり、縮んだり、柔らかくなったり、硬くなったり、を忘れてた。」


ずっとおんなじでいなきゃいけないっておもわされてたのかも

ふつうにある変化を平坦に塗り固めてたのかも


振動はとめられ

振り子はとめられ

波は堰き止められ


「もう一度思い出したいんだ。 

想い出そう。

一体どんなリズムで生きていたのか。

どうして光と影があるのか。

晴れと雨があり、様々な形の雲が空にあるのか。」



さあ、次の一言はなんだ。

物語の次の節はどう書くんだ。

その舌のさきにある、

まだ

言葉になっていない

力は。



変化のある、

直線ではない、

線をいっぱい描く。



「想い出そう。

季節のある物語。

大きな

ゆるやかな

あたたかさのなかで


生かされていること」


草木









だけでなく

根を

張る。










その回転に乗り、いつでも撓り、この世界にあらわれる。


(つづく)
by kkiyono-lp | 2007-10-05 12:53 | Story telling
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