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左耳

「昨日から、

烏が裏山で沢山鳴き始めたんだ。

季節が変わっていくからかな。」

「そういえば、こないだ誰かがいってたな。

烏は人を導いてきたんだって。 日本にも、

アラスカにもおんなじお話があるんだって。」

季節を運んでくる生き物達。 


蠢。


いっぱい、意味づけをしようと、

じゃぶじゃぶペンキみたいに言葉をつくってきたが、


その裏にはいつも影のように、うにゃうにゃした「生きている」力が蠢いている。

「それをとりだしたい。どのように編みこまれた布なのかが見たい」



朝起きて、蝉と烏の声がきこえる。

蝉もたくさんの声をもっている。

朝から昼になって、夕方になるにつれて、

鳴いている蝉は違う蝉だ。


夜は鈴虫が鳴きだした。

「耳を澄ませば、秋が夏に混じっているのがわかる」


烏はよく話しています。

会話をしています。

そして、夕立がふります。

「自分を冷やすように打ちつける雨・・・」

先日降ったまとまった雨を思い出した。



どっさりこのまちに雨が降った日、

陰陽(ネガポジ)という地下空間で、キャンドルのイベントがあった。


水と大切に付き合う「音を産む」パーカッショニストと、


長い時間や空間や人の身体を緩やかに貫く笛吹きさんと、


様々な結節点の子守唄、「あらわれ」さんが


とてつもなく素敵な時間をくれた。



いろんな旅を音の中でしました。

そして、じわじわ還ってきたとき、






「左耳が、きこえる。


もっとききたい!と意志をもってる」






そう、今は左耳で聴こうとしている。


今、蝉の声が左耳に沁みる。


「聴きそびれたことば、想いの襞はおおいが、

きっとこれからは、勝手は違うはずだ」


(つづく)
by kkiyono-lp | 2007-08-24 17:48 | Story telling
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