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第九話 少年の夢



少年の夢は冒険を生きることだった。

彼は、とくに絵が得意なわけではなく、

運動が得意なわけではなく、

どちらかといえば怖がりで、

自分以外のものを受け入れるのが下手だった。



まわりのものはすべて未知だった。



そんな性格から、彼はたくさんの人の手を焼いてきた。

彼は「わがまま」な子供だった。



「彼は『わがまま』な子供だった。」と彼はいまはちゃんと認められるようになっていた。

しっかりと時間は流れ、少年は青年になった。


好き嫌いも減った。

恐れはまだあるものの、昔より相当軽くなった。



彼は、今、生まれた町から西の方角にある町に暮らしている。

そこで、耳を澄まして暮らしているのだ。

ずっと聴いてこなかった、小さな音を聴くようにして。

沢山の忙しい足音にかき消されていた音を聴くようにして。



それは、突然の出来事だった。

ふらりと立ち寄った中華料理屋で彼は海鮮そばを注文する。

旧正月だからか、まわりはチャイニーズが多い。


「睦月」

親類縁者と仲睦まじくする月から、睦月。

人が再び出逢い、わしゃわしゃする。

団欒する。 食卓を囲む。 そんな素敵な月のはじまりだ。

そして、今日から一年の始まり。

どんな航海になるだろうか。


その中華料理屋が、昔その町より東にある、

彼が生まれた山間の町に住む祖母とよくいった

中華料理屋とおなじ空気が流れていることを彼は感じた。

空気、というよりも、波長というべきか。



―そのとき おもいだした 少年の夢

  少年は 冒険を 書いていた

  こっそり書いていたんだ

  「冒険を生きたい」って感じながら

  
昔、少年だった青年は、今の居場所が判った気がした。


「冒険みたいに生きたい。」

その想いが、彼自身をこの町まで連れてきたこと。

沢山の人の間に紛れながら、ここに流れ着いたこと。

そして出逢いを重ねてきたこと。


彼の名前は 「マチャバ」 

最近は、つまらないことでだまされたり、情報におどらされたり、

人を無力化していくトリックが嫌いだ。

そして、こっぴどく自由と冒険と酒と音楽とそれに類するものを愛している。


マチャバは1ヵ月後に

「秘密を知る旅」を計画している。

手帳にも、旅に関する内容の羅列がふえてきた。

それは、「大きな蜂の巣の都市」と

「音楽の溢れる島」への旅


「冒険はいい。 やっぱり、いい。」


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とにかくmoveを聴きながら、書いてます。
by kkiyono-lp | 2008-02-08 03:28 | 2008年 72の物語
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